昔から妖精といえば木の枝や森に佇む図が多く、「シシリー・メアリー・バーカの妖精の絵画」など、過去の巨匠が数々描いてきた構図です。
その伝統的な表現で、不思議な森の木に留まるオベロン・ヴォーティガーンを描きました。
また、色使いや雰囲気にエッセンスを加え、奈落のイメージも表現。
浮世絵の「尾形月耕 作「鹿児島県授産場製紙巻煙草」のほか、木や森のイメージは歌川国貞の「天狗とカラス天狗」にもインスパイアされています。
オベロン(黒)の妖しくも魅力的なキャラクター像や幻想的な雰囲気を表情や構図、そして浮世絵技法によって作り上げた江戸伝承手摺手彫木版画作品です。
担当浮世絵師のコメント
妖精王オベロンの姿をしているが國を滅ぼした『奈落の虫』、正体は滅びの意思が具現化された…というとても複雑なキャラクターであり、デザインはあの羽海野チカ先生ですので、浮世絵としてどう表現するかは難題でした。
ゲーム(原作)の素晴らしさやイメージ、世界観を壊さずに浮世絵で表現するにあたっては何といっても摺師と彫師の江戸時代から続く技術と数々の経験が作品に大きく影響しますので、職人と共に様々な浮世絵技法を模索して制作しました。