映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』より、鬼太郎の父と水木の友情を描いた作品。
モチーフには、歌川国芳「雷正九郎(庄九郎)」や歌川芳春「青砥稿花紅彩画 白浪五人男」、歌川国貞(三代目歌川豊国)「花誘吉原の夜雨 東八景ノ内・中村歌右衛門」などを採用しています。
粋で華やかな装いの二人が、桜を肴に一杯やろうとするところに舞い降りたのは、季節外れの“花散らしの雪”。幻想的で美しくありながら、それだけにとどまらない不気味な気配が空に漂います。
怨念が渦巻き、美と恐怖が同居する妖怪たちの世界。
そんな中で、舞う桜と雪に目を奪われる鬼太郎の父と、傘を差し掛ける水木の姿が、静かに友情の温かさを伝えています。



































担当浮世絵師のコメント
この作品では、江戸浮世絵の役者絵の名作「花誘吉原の夜雨」をベースに、現代の妖怪世界と重ね合わせることを試みました。 鬼太郎の父たちの粋で歌舞いた姿に、儚くも美しい桜と、季節外れの雪を加えることで、幻想的かつ不穏な空気感を演出しました。
「花散らしの雪」には、物語中に登場する「血桜」のイメージも重ねており、華やかさの裏に潜む運命の影を象徴しています。
また、水木が鬼太郎の父にそっと傘を差し出すシーンは、静かな優しさと友情を表現したかった場面です。
美しさと恐ろしさ、そして温もりが同居する世界を感じ取っていただければ幸いです。