エヴァ浮世絵「箱根八里美人三画揃 レイ」

本作では、すべて筆を用いて墨線（主線）を描いています。
日本画のように細い筆で丁寧に描くことで、アニメや漫画とは一味違った独特の線の味わいをお楽しみいただけます。

作画手法は「現代アニメーション」と「江戸浮世絵」を融合させたハイブリッドな構成。 ファンの皆さまにとって馴染みのある“推しキャラクター”のイメージを極力崩さず、それでいて「よく見ると実は異なる描き方をしている」と気づいていただける、二重の面白さを狙った作画となっています。

髪の毛の表現、目や指先、鼻の立体感、そして着物の流麗なラインなど、伝統的な技法を基に描かれており、さらに小物の配置や色のかすれなどにも“手作り感”を意識した工夫を施しています。

浮世絵が持つ「じっくり眺めて楽しむ文化」を踏まえ、購入後も新たな発見があるような奥行きのある表現を目指しました。

アニメの設定カラーをベースにしつつ、浮世絵の世界に自然に溶け込むよう、和の伝統色を用いて再構成しています。

原作とは異なる、落ち着いた色味を用いることで、ヒロインたちが和の世界でも美しく映えるような、新たな魅力を引き出しました。

今回の作品は浮世絵木版画ではなくジークレー印刷ですが、あえて木版画らしい「版ズレ」（色の重なりやズレ）を表現に取り入れ、和紙に印刷した際の風合いと一体化させる工夫をしています。

手作り感や浮世絵特有の風情を感じていただけるよう、細部まで意識して仕上げました。

屏風には、“エヴァっぽいものが何かと戦っている”というような構図が描かれています。 これは、シリーズの副題「御伽草子・箱根四匹の巨人と三人の姫」に基づいた背景設定に沿って制作されたものです。

“昔の人がエヴァと使徒の戦いを目撃し、それをおとぎ話（御伽草子）として語り継ぎ、やがて屏風に描かれた”という想定のもと、構図には布や虎柄といった装飾を加え、あえて巨人や妖怪にも見えるような曖昧さを残しています。

特に初号機は、目立ちすぎないよう配色を抑え、虎柄の蓑でその大半を覆うことで、やや洒落た演出としています。
背景に描かれた近代的な武器のようなものも、昔の人が正体を知らずに描いたと解釈していただくと、より一層楽しめます。 こうした自由な想像を促す余地も浮世絵ならではの魅力です。